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角田光代  Presents
 
この世に生まれて、初めてもらう「名前」放課後の「初キス」女友達からの「ウェディングヴェール」子供が描いた「家族の絵」―小説と絵で切りとった、じんわりしあわせな十二景。 角田光代の短篇と人気イラストレーター・松尾たいこのイラストで切りとった、珠玉の短編集。「BOOK」データベースより

名前 ランドセル 初キス 鍋セット うに煎餅 合い鍵 ヴェール 記憶 絵 料理 ぬいぐるみ 涙


人に連絡を取りたくなる。親だったり、友人だったり、恋人、仕事仲間…。誰かに「一緒の時間を過ごしてくれて、ありがとう」と言いたくなる本。


12編という短編も嬉しい。1つ1つサクっと読み終わり、結構ドロっとした事件がおこっていたりするのだが、どれも読後が爽やか。
全編女性が主人公で年代はバラバラだけど、私は感情移入しやすかった。
文体がどうとか技巧がどうとか、この本についてはそんな不粋な考察は必要無い。
ただただ素敵な、希望に満ちた本。この出会いに感謝したい。


人生って捨てたもんじゃない。
全体的に「でも、しあわせ」という空気が漂っている。
説教臭くクドクドと「でも、しあわせでしょ?」と問うのではなく、自然と人生を反芻し、周りの人に感謝ている自分がいる。人生礼讃。
心が、ほあっと温まって、元気になれる本。時々引っぱり出しては「私だってまだまだ捨てたもんじゃない」と、心に栄養を与えてくれるはず。


確かに「プレゼント」だなあ。色々なものを貰ってあげている。
帯に 「品物は、いつかなくしてしまっても、贈られた記憶、その人と持った関係性は、けっして失うことがない。私たちは膨大なプレゼントを受け取りながら成長し、老いていくんだと思います。」
と、あった。至言だ。


本をプレゼントするって難しい。その人の好みを熟知していないと「化粧水」みたいに、肌があわなくて拒否反応が出たり「これ…どうしよう?」と、その後の処理に困ったりする。
だけどこの本は、疲れている人、寂しい人、忙しい人、幸せな人、人生の転機を迎えてる人…、誰にでも、しっくりくるだろう、貰ったらきっと喜んでもらえる、と嬉しい想像ができる。
何かの節目にプレゼントしたい本だな。その時はさすがに、文庫じゃなくハードカバーを贈りたい。


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|カ行(角田 光代) |comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
角田光代  空中庭園
郊外のダンチに住む「家族内に秘密を作らない」というモットーの京橋家。
しかしその実、それぞれ人に言えない秘密を抱えていた…。
家族と彼らをとりまく6人の登場人物の視点から描いた、連作短編。

「ラブリー・ホーム」 … 娘
「チョロQ」     … 父親
「空中庭園」     … 母親
「キルト」      … 祖母
「鍵つきドア」    … 父親の愛人
「光の、闇の」    … 息子


「何処にでも居そうな家族」って、そもそもどんな家族なのだろう?
「何処にも居そうにない家族」って、どんな家族なのだろう?
どんな家族にだって衝突や秘密はあるし、独自のルールはあるだろう。
起伏に富んだ人生だけが物語になるわけでなく、平坦な人生といったって、人によってはちゃんとした物語に見えるだろう。
そんな事を考えてしまう作品ではないか?深読みしすぎ?


誰だって家族に言えないことはあるし、言わなくていいと思う。家族は好きだけど、ちょっと恨んでいる部分もあるはず。
「家族に秘密を作らない」というモットーの家族。読後改めて考えると、母親が必死になってそれにすがり、娘がそれにのってあげていたのだな…と思う。母娘は、いくら対立しあってても、いざとなると結託するもの。それは、やっぱり「男」の立場と「女」の立場からくる価値観の違いではないのか?


そして、逆オートロック。鍵のかかった扉は、人間ならば全員持っているのだ。そして、みみっちい秘密をせっせとかくしているのだ。自分の善も悪も、計算も、全部開きっぱなしで大公開なんてとても出来ない。


まだ続くよ ぽちっと →
|カ行(角田 光代) |comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |